書籍、洋楽、洋画の感想Blog

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「身体」を忘れた日本人

-自然に囲まれた生活。これからの日本人の生き方のススメ-

 

 

養老孟司 × CWニコルの対談集、全七章。

自然が与える人々の暮らしへの恩恵、または近代~高度経済成長期の

環境破壊が引き起こした様々な問題について、2人の対談を全7章に

まとめている。机上の空論でなく、環境活動、実体験による様々な

苦言、提言が詰まっている。官僚や自治体職員らを相手に「バカと

付き合う暇はない」と嘆くニコル氏。研究畑だけでなく昆虫収集家

として森に分け入り、生態系の破壊に警鐘を鳴らす養老先生。

 


第一章 森と川と海のこと


長野県の天然記念物の木曽馬を森の中で働かせようとか、10年

ぐらいマグロは禁漁にしようとか、ユニークな提言だ。

 

第二章 食べること、住まうこと


田舎で暮らすことのメリット。その土地固有の食べ物を食べたり

そこの森で採れた木材で家を建てる。都会の画一的な暮らしに比べ

変化のある生活は重要だ。定住がダメなら休暇の間だけ暮らすの

も良い。欧米みたいに会社でも官庁でも一か月ぐらい強制的に休み

をとらせてはどうか。大賛成、すぐやりましょう、って経営者は

いないのか?

 

第三章 子供たちと教育のこと


子供を育てるのはちゃんとした施設でなく自然の中で「ほったらかし」

でよい。勝手に学び、生きた知識を身につける。

 

第四章 虫のこと、動物のこと


キリンの首はなぜ長い、に解剖学者の養老先生の真面目な答え。

生き物の形態は、できちゃったからしょうがないっていうことらしい。

 

第五章 五感のこと、意識のこと


五感を鍛えることの重要性。自然の中では傷んだもののにおいで食べれる

食べれないを判断しないと生き残れない。意識の話はかなり難しい。

 

第六章 聞くこと、話すこと


ネットで調べてわかったことと、外に出て自然に接して経験したこと

とは根本的に違う。わからないことがあるということを留保して、

謙虚にならないといけない。

 

第七章 これからの日本のこと


私たち日本人がこの先どうしたらよいか。ニコル氏は「自然から離れないで

ください」といい、養老先生も「自然に触れてほしい」という。

本の森と川と海は本当にひどい状態だと。

 

 

(2015.11.03)