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地球の履歴書

 


-現代科学が解明する、地球46億年の生い立ち-

 

 

 

 

地球の歴史を科学の目で紹介した全8章のサイエンスエッセイ。

科学の発展によって、地球の謎やさまざまな未知の領域は徐々に

解明されてきた。地球創世記の月の関係から、田沢湖の絶滅種の

話までサイエンティストが、雑誌連載記事よりまとめている。

 

第一章 How Deep is the Ocean?


Jazzのクラシックのタイトルを挙げるなら、How High The Moon も

この章で触れられた内容である。45億年前の出来立ての月は地球から

わずか2万km、見た目の大きさは今の20倍近くの大きさで、どんなに

目障りになっていたことだろう。 How Big The Moon!.

 


第二章 謎を解く鍵は海底に落ちていた


日本の松山教授の地磁気の逆転現象の観測結果や、ウェゲナーの

大陸移動説からのプレート・テクニクス理論。またダーウィン

サンゴ礁の成り立ちの考えは発表時は仮説の域で評価は定まらず

その証明は更なる技術革新の登場を待たなければならなかった。

 


第三章 海底が見える時代


現在の世界地図や地球儀には詳細な海底の地形図が記されている。

深海深くの栓を抜いて海水を抜いて実地測量したかのような精度だ。

これは第二次大戦で発達した技術が戦後に広まったことによる恩恵、

サイドスキャン・ソナーとシー・ビームである。広範囲な地形を

測定し、高速にデータ処理できるコンピュータの発達がもたらした

革新である。

 

第四章 秋吉台ミケランジェロ、石油


石灰岩、セメント、石油。いずれも白亜紀の大量の微生物の遺産で

今の我々は多くの恩恵を得ている。白亜紀温室効果の真っ盛りで

今より多様な生物の大繁殖、繁栄期だった。そしてその繁栄は巨大

隕石の衝突によって終焉した、とされている。

 


第五章 南極の不思議


南極大陸の詳細が判ってきたのはこの百年程度のことである。極地

探検隊が両極を目指し多くの犠牲を出し、その中で競争に勝利した

ノルウェーのアムンセンが人類最初の到達者の称号を受けた。

現在の南極は、夏には2千人を超える人が暮らす「町」があり、

当時の上陸地点を極点を結ぶ1600kmの間はブルドーザが走る「道」

が結んでいる。

 


第六章 海と陸が出会う場所


氷河期が過ぎ、陸地と海面の境界は徐々に替わってきた。現在は間氷

期で海面が最も高い時期にあたる。しかし干拓により住居可能な土地

を広げることが出来るのは大陸に沿って浅瀬、いわゆる大陸棚があり、

海岸沿いの平野は沖積平野が広がっているからだ。地球の長い歴史の

サイクルでは、我々の済む地域の大部分は、海底と陸地のどちらかの

状態を繰り返しているところになる。

 


第七章 塩の惑星


人類の生存に欠かせないもの、また経済や文化の発展に大きな影響を

与えたものが「塩」である。日本では古来より海水を煮詰めて、干す

製法がほとんどであるが、他の大陸では岩塩を採集している。地中海

近辺で良質の岩塩が採れるのは、過去に何度も干上がり、海水が流入

することを繰り返し、地殻変動により隆起したものである。

 


第八章 地下からの手紙


近くに火山が無いにも関わらず、高温の湯を1000年以上も湧出し続ける

有馬温泉は「奇妙な例外」である。太平洋から水源を得て、地下かなり

深いところを通じて、ウランからエネルギーを得て高温で表出している

と考えられている。

 

(2015.11.15)