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あなたの体は9割が細菌: 微生物の生態系が崩れはじめた

 

 

 

体調が悪い時や怪我をした時、あるいは病気になった時、病院で診察を受けて薬局で処方箋を出して薬を受け取る。抗生物質(antibiotics)の入ったものをもらっているが、それは感染症を防ぐため?

 

著者のアランナ・コリンはマレーシアのジャングルでダニにかまれ、熱帯病の治療で長期間に渡る抗生物質の投与を経た後に、体調を崩してしまう。

人間の体内の微生物の生態系が崩れるとどうなるのか? 自閉症患者の治療に微生物がどう作用するのか? 文明社会に無縁の原始生活者の体内微生物の組成は我々とどう違うのか? 他人の糞便を取り込んで治療・治癒するのは医学的にどこまで解明されているのか? などなどを実体験や事例調査、さまざまな研究結果をまとめた科学ルポタージュ。

 

自然分娩と帝王切開との出産方法の違いが生まれてくる子供のその後の健康にどのくらい差が出るのか、母乳で育てるのがなぜ子供によいのか、など伝統的な子育てが実は科学的な裏づけがあることがわかる。

 

 

【著者が取り組んでいる・取り組もうとしていること】

 ・自分の中の微生物を満足させるため、食物繊維の摂取量を増やす

 ・出産は自然分娩を選択するが、帝王切開になった時は、あること(※1をする

 ・母乳で育てる

 ・抗生物質は本当に必要な時以外は摂取しない

 

抗菌物質や抗菌効果のあるXXなど、製造メーカの無意味な宣伝に惑わされているだけ、と気付かされる。農作物や家畜など薬漬けの食品を摂取しつづけているのが、どれだけ微生物本来の働きを妨げているのだろう。

 

医学や生理学、生物学の研究で明らかになってきた人間の体内微生物の役割について、実例や検証がやさしくまとめられている。

 

(※1:膣の微生物を赤ん坊へ塗布する)

(2016.10.30)